個人的監督通信簿

以前助っ人外国人の個人的通信簿の記事を書きましたが、今度は監督の評価を書きたいと思います。

監督といえば、一般企業で言えば、中間管理職、店舗や組織の所属長といった重要な役割です。

 

采配や、起用法ももちろん重要ですが、上に立つものの素質も必要だと思います。

 

以前と同じようにファンになった、10〜19年までにライオンズの監督となった人達を対象とします。あくまで個人的な印象なので悪しからず。

 

次の5つを個人的にS〜Dで評価して、寸評と総合評価を出させて頂きます。

采配力→どれだけ采配が的中したか

育成力→どれだけ若手を起用したか

寛容力→選手とどれだけ距離が近いか、選手の気持ちを分かっていたか

ネームバリュー→監督として名前負けしていないか

威厳→監督としての風格があったか

 

 

10〜13 渡辺久信監督(08年から監督)

采配力 B+

育成力 A

寛容力 S

威厳 A

ネームバリュー A

総合評価 A

08年の監督就任時に、1年目からリーグ優勝、日本一を達成した監督。「寛容力」という本を出している通り、基本は褒めて伸ばすスタイルで選手にのびのびプレーさせる環境を常に作っている。

若手選手の育成にも定評があり、投手出身の監督ながら、若手を我慢して起用して、中村選手、栗山選手、秋山選手、浅村選手らを育てた。

ただ、投手陣の整備にはやや苦しんだ模様。涌井投手や当時ルーキーの牧田投手を抑えにしたり、やりくりは多少苦しかった印象はある。

個人的に、渡辺監督時代は、前半戦は噛み合わない事が多かったものの、後半戦からギアを上げて浮上していく年が多かった印象がある。

その証拠に2011年の奇跡のCS進出や、2013年の閉幕まで怒涛の8連勝など、ドラマティックな試合展開をする事が多く、観ていて非常にワクワクした。

また、年によってケガ人や現有戦力を計算して、打線や投手陣を作り出すスピードも速い印象があった。

その上で、選手には寛大な心を持ち、怒る時は理由をしっかりつけて怒るらしいので、上に立つものの素質としては充分にあると思う。

 

14〜14年途中 伊原春樹監督 (03年ぶり2回目)

采配力 C-

育成力 C

寛容力 D

威厳 A

ネームバリュー C

総合評価 D

6年間の渡辺政権が終わり、2002年の優勝の実績、厳しい規律を求めた結果、伊原監督に白羽の矢が立った。

しかし、これがライオンズ暗黒時代の入口でしかなかった。

初顔合わせの時、西武鉄道の初乗り運賃を答えられない批評の件から始まり、選手に対して過小評価の発言、ヒゲや茶髪、ユニフォームの着こなしの注文で選手から早くも不満が生まれる。

キャンプではランニング中心で選手からの実践不足も懸念された。

実践不足が開幕から露呈し、3連敗からスタート。シーズンが始まれば、試合では勝った試合は自分の手柄、負けた試合は選手を名指しで批判などが平気で行われた。そして、秋田への遠征中に、豪雨の中で、外での練習を決行した所、監督と選手の間に完全に溝が出来てしまい、6月に辞任。

ライオンズの歴史史上、シーズン中の監督退任は初めてだと言う。

確かに主力選手の移籍やケガの選手が多かったのも原因だったが、今の時代にあった指導法や、コミュニケーションが出来てなかったのも大きな問題だった。

采配に関しても、抑え十亀投手の失敗、奇策を行いそれが悪い方に転ぶ、金子選手左打ち限定、5番に脇谷、直人、稀哲選手の併用と、納得のいかないものや、理由が不明なものばかりなのだった。

唯一良かった点は、栗山選手が好調。浅村選手が大型セカンドとしてプレー出来るようになった事ぐらいか。

ある意味監督として、こういうチームにしたいという威厳は感じれたが、いかんせん選手の気持ちを考えてなかったとは思う。

正直、伊原監督でこんなに書くとは思わなかったが、渡辺監督時代とのギャップに当時高2ながら思っていた事だろう。

 

14途中〜16 田邊徳雄監督 (14年は監督代行)

采配 B

育成力 A

寛容力 A

威厳 C

ネームバリュー B

総合評価 B

伊原監督の辞任を受け、思わぬ形で14年監督代行、15年からは正式な監督として約2年半、指揮を執った田辺監督。16年の退任後に「元々監督をやりたいとは思わなかった」「2軍のコーチの方が楽しかった」と発言しており、多少理不尽な理由で監督業をやらされていたのも否めない。

伊原監督退任後、禁止されていた髭や長髪はOKなど、選手の自主性に任せるスタンスだった。

現役時代はライオンズ黄金時代のショートとして、いぶし銀的なプレーをされていたらしいので堅実な采配を振るうと思っていたが、2015年の高卒2年目の森選手の起用を始め、浅村、中村、メヒア選手ら大砲を並べる攻撃的な打線を披露。

また、2016年の金子選手盗塁王や、山川選手覚醒のキッカケを作ったり、若手の長所を伸ばすのは上手な印象があった。

ただ、前の伊原監督に比べて、監督としての威厳はなかったように見えた。2015年の日本最多安打記録を更新した秋山選手に何故かバントを何回か命じたり、微妙な判定で抗議して欲しい時に、ベンチから抗議に向かわないなど、弱気な采配が見えてしまった。

15年は序盤は良かったものの、中継ぎの乱調や投手陣の崩壊で、投打が噛み合わなくなり、悪夢ので13連敗。16年は外国人投手がことごとく外れるなど、不安やトラブルにも見舞われた印象がある。

結果的に3年連続Bクラスになってしまったが、ポジティブに捉えれば、次の辻監督になるまでに、若手がステップアップ出来た2年半だったとは思う。

 

17〜20現在 辻発彦監督

采配 A

育成力 S

寛容力 A +

威厳 A

ネームバリュー A

総合評価 S

最後は18年、19年に連覇を成し遂げた現ライオンズ監督の辻監督。

CSの短期決戦での弱さや、19年は平井投手問題や、木村選手ライト固定化など叩かれる事は多いが、僕個人としては、優勝に導いてくれた偉大な監督で、しばらくは辻監督に任せて欲しいと思っている。

16年のライオンズは守備の乱れでリーグワーストのエラー数を記録。さらに内野の要のショートのレギュラー不在など、守備に大きな課題を抱えたまま、辻監督に引き継がれた。

現役時代に、セカンドで8度のゴールデングラブ賞に輝いた辻監督にオファーするのは納得だった。

厳格なイメージの強い辻監督だが、実際にはコミュニケーションを大切にしており、柔和な笑顔でいつも選手達を温かく見守っている。ある記者によると選手のモチベーションを上げるのが非常に上手い監督だそうだ。亡くなった野村監督もテレビで、辻監督にオファーして正解と仰っていた。

17年、下馬評が低かったライオンズだったが、大きく予想を覆し4年ぶりのAクラス入り、2位に返り咲いた。外崎選手を外野コンバート、山川選手を4番起用。そして何より辻野球の申し子、源田選手のルーキーでショートでフル出場など、若手の積極起用が大成功した。

CSで敗退し、17年シーズン終わってしまったが、守備の立て直し、ショートのレギュラー確保といった、課題を1年で解決させてしまった。

そして18年、ライオンズ史上最強とも言われたあの山賊打線を作り上げ、圧倒的な攻撃力を武器に10年ぶりのリーグ優勝を果たした。

これまでの監督が育てた選手といるが、打線を組み立て、大味かつスピードのある野球を作り上げたのは、他でも無く辻監督だと思う。

ド派手なホームランはもちろん、堅実に全員で繋ぎ、足でかき回す。5〜6点差が離れてても負ける気がしない、本当に楽しい1年だった。

19年は主力選手が3人移籍するなど、Aクラス入りすら危うい状況だったが、今度は投手陣の整備が上手くいった。初の二桁勝利の高橋光成投手を始め、本田、今井、ルーキー松本、新助っ人ニール投手らのやりくりで先発投手の頭数を揃え、抑えには去年の不振から抜け出した増田投手で盤石の布陣。

打線も浅村、炭谷両選手の抜けた穴を、3番捕手としてMVPに輝いた森選手、完全復活した中村選手を中心に、怒涛の追い上げで見事2連覇を成し遂げた。

先程も書いた通り2年連続日本シリーズ出場を逃し、短期決戦での弱さが課題だが、辻監督就任から2位、優勝、優勝と、明らかにチームが優勝を狙えるチームへと成長させてくれた監督だと思う。更に、多くの選手が移籍してるのにも関わらず、チームを作り上げている手腕も本当に見事だと思う。采配面、人望面共に充分なのではないだろうか。

 

以上でございます。

渡辺監督が畑を耕し、田辺監督が種を蒔き、辻監督が華咲かせるといった所でしょうか?

え?誰か足りない?気のせい気のせい

 

2010年から、10年の歴史の中で、ソフトバンクが5回、日ハムが2回、楽天が1回優勝しており、何故かほとんどのXデーがライオンズに関わっていました。テレビの前で、苦渋を何度も舐めされられましたが、遂に9年目の2018年に僕としては初優勝、そして連覇を達成しました。もちろん、今年は3連覇して欲しいです。

今年は秋山選手がメジャー移籍とセンターを失ってしまいましたが、秋山選手の後継者を育てつつ、3連覇を目指して欲しいと思います。

辻監督、頼みます!

 

p.s.

2016年のファン感の、新監督挨拶の時の、スーツ着た辻監督の背中は期待しかなかった。