僕が思うドラフト戦略 パリーグ編後編

4回にわたって書いてきたドラフト戦略の企画、いよいよ最終回になります。残りのパリーグ3球団はどのような指名を行なっているのでしょうか?

 

それではどうぞ

 

項目

1.過去5年間のドラフト1位

2.ドラフト1位の傾向

3.上位指名の傾向(外れ1位、2位〜3位)

4.中位〜下位指名の傾向(4位以降、育成指名)

5.その他、球団ごとのデータとまとめなど

 

東北楽天ゴールデンイーグルス

1.過去5年間のドラフト1位

16年 藤平尚真(単独)

17年 清宮幸太郎×→村上宗隆×→近藤弘樹

18年 藤原恭大×→辰巳涼介(4球団競合)

19年 佐々木朗希×→小深田大翔

20年 早川隆久(4球団競合)

 

2.ドラフト1位の傾向

・1度目の入札ではほとんどが高校生投手に行く傾向があります。復帰した田中投手や、松井投手など活躍した実績がある為、戦略としては納得だと思います。楽天は比較的くじ運に恵まれている球団であり、近年はくじ引き負けもありますが、12年〜14年まで3年連続当たりくじを引き当てる実績もあります。しかし15年平沢選手や、19年佐々木投手など、地元東北出身選手をドラ1狙うもその時は外れてしまいます。その時は思い切った方向転換の指名も目立ちます。

 

3.上位指名の傾向(外れ1位、2位〜3位)

楽天の2位以降は正直全く読めません。1位次第と言えばそうなりますが、チーム状況や足りないポジションを優先して獲っている印象です。高卒選手を2位で指名する際は、甲子園で活躍した選手か、高校球界でもトップクラスに伸び代のありそうな選手を獲っているイメージです。いずれにせよ、ポテンシャルが高い選手を好む傾向があります。

 

4.中位〜下位指名の傾向(4位以降、育成指名)

・下位指名では社会人や大卒の選手が多いです。大卒社会人の選手を下位で指名して、主にリリーフ投手として、才能を開花させるパターンが多いです。また、地元東北枠の選手や、東北に縁のある選手を下位で指名する事もあります。

 

5.その他、球団ごとのデータとまとめなど

・1位はほとんどが高卒投手

・比較的くじ運が強いが、東北出身選手のドラ1競合は、未だ勝利なし

・競合が多い時は、思い切った方向転換あり

・生え抜きの長距離砲が課題であるチームだが、内田選手や岩見選手など、好素材は獲得出来ている。

・2位以降はその時の状況次第

・下位で東北に縁のある選手を獲りにいく

・近年は石井GM兼任監督の手腕が光る

 

北海道日本ハムファイターズ

1.過去5年間のドラフト1位

16年 田中正義×→佐々木千隼×→堀瑞樹

17年 清宮幸太郎(7球団競合)

18年 根尾昂×→吉田輝星

19年 佐々木朗希×→河野竜生(2球団競合)

20年 伊藤大海(単独)

 

2.ドラフト1位の傾向

日本ハムの1位指名はとても分かりやすく、「その年のナンバーワンを指名する」というものです。ポジションや最終学歴、出身地に関わらず、球団がその年のナンバーワンだと思った選手を指名するので、ほとんどの年で競合が起こります。単独を好む西武とは対照的に、ここ10年間で12球団最多8度の競合となっております。また、くじ運は年によってピンキリでもあり、かなりハイリスクハイリターンな作戦だと思います。

 

3.上位指名の傾向(外れ1位、2位〜3位)

・かなり大博打な1位戦略のスタイルを取っているからか、1位の競合で予定より大幅に外した時、1位で高校生を指名した時は、2位で安定感のある大学生や社会人を指名する事が多いです。反対に1位で大学生を指名する時は、2位で高校生に行く事が多いです。

 

4.中位〜下位指名の傾向(4位以降、育成指名)

日本ハムは高校生の育成に定評のあるチームの為、4位以降は高卒選手をメインに、素材型の大卒選手、即戦力の社会人選手の3パターンでの指名が多いです。特に下位で先発ローテーション候補、正捕手候補の高卒を多く獲っています。また、18年よりこれまで行われなかった育成指名も解禁しており、昨年の樋口選手の様に、育成からの支配下登録に期待です。

 

5.その他、球団ごとのデータとまとめなど

・1位はポジション、出身関係なく、その年のナンバーワンを狙いに行く

・くじ運は年によってピンキリ。ちなみにGMや社長が引くと強く、栗山監督だと弱い

・甲子園で活躍したヒーローをメインに、高卒選手を多く指名しているチーム。

・2位は安定感のある、大卒社会人を指名する事が多い

・3位からは高卒を中心に、ローテ候補、素材型選手、即戦力の社会人選手の指名が多い。

・下位で北海道出身、北海道に縁のある選手を指名している

ソフトボール大嶋選手や、東大卒宮台投手など話題性のある選手を獲る事もあり

・ドラフト前、ドラフト後の話題性という物は12球団ナンバーワンだと個人的には思う

 

オリックス・バファローズ

1.過去5年間のドラフト1位

16年 山岡泰輔(単独)

17年 田嶋大樹(2球団競合)

18年 小園海斗×→太田涼

19年 石川昂弥×→河野竜生×→宮城大弥

20年 佐藤輝明×→山下舜平大

 

2.ドラフト1位の傾向

オリックスは、社会人選手を中心にやや即戦力寄りの1位指名が多いです。ですが、18年辺りからは、未来に向けた高卒選手の指名が目立ちます。福良氏がGMに就任してチームの方針が変わったのかは不明ですが、ここ数年のドラフトの内容はガラリと変わった印象です。また、オリックスはくじ運に恵まれてません。(オリックスファンの中すみません) 一本釣りはあるものの、くじを外した場合は年によって、同じタイプの選手、もしくは全く異なるポジションの選手を指名する傾向になります。

 

3.上位指名の傾向(外れ1位、2位〜3位)

・数年前は2位で即戦力社会人or大学生、3位で野手指名が多いイメージですが、ここ最近は高卒2人を指名する事も珍しくありません。オリックスの場合、チームにとって必要な選手を順番に指名している印象です。リリーフ投手や、外野手などバライティに富んだ指名が多いのも特徴だと思います。

 

4.中位〜下位指名の傾向(4位以降、育成指名)

オリックスは下位で指名した選手(主に投手)を育成するのが上手だと思います。現在活躍中の、山本由伸投手もドラフト4位でした。いい意味で、他球団が掘り出し物として指名してる中、オリックスは欲しいけど、順位の順番の影響で下位になってしまったという印象です。また、榊原投手や、漆原投手など育成選手を一軍の戦力として送り出す事が出来ているチームだと思います。

 

5.その他、球団ごとのデータとまとめなど

・1位は公言の年、しない年があり流動的。社会人が多め

・近年は高卒選手の指名が多い

・ここ10年で最初の競合で獲得したのが17年田嶋投手のみとくじ運がとにかく悪い。

・2位で即戦力の大卒、社会人選手を多く指名している

・指名の優先順位は、チームにとって必要な選手が欲しい順

・下位からの一軍の戦力になる選手が多い

・俊足巧打タイプの選手が多め

・パイプとしては、JRのチーム、車関連の社会人チームなど社会人チーム

 

はいというわけで全4回にわたってドラフト戦略を紐解いてみました。どのチームも指名にカラーや味があって、おもしろいと思います。今年入ったルーキー達はどんな成績を残すのか楽しみです。近日中に今年のプロ野球予想の記事も書きます。

長い企画を読んでくださりありがとうございました。それではまた